【図解】リファレンスチェックとは?メリットや質問内容、実施の流れを解説
近年、一人あたりの転職回数が増え、副業やフリーランスなど働き方が多様化しています。採用活動では従来の履歴書、職務経歴書から取得できる、所属企業の知名度や在籍期間、転職回数などはあまり意味を持たなくなり、採用を判断する情報として不足しています。
その結果、これまで外資系企業では一般的だった「リファレンスチェック」が、日系企業でも注目されてきています。
しかし、まだ「リファレンスチェックについてよく分からない」という人が多いのではないでしょうか。今回は、リファレンスチェックを実施するメリットや質問内容、流れについて図解で詳しく説明していきます。
目次
- リファレンスチェックとは?
- リファレンスチェックのメリット
- リファレンスチェックがもたらす離職率改善
- リファレンスチェックの実施の流れ
- リファレンスチェックの質問内容
- リファレンスチェックは違法ではない?
- 採用担当者の負担
- まとめ
リファレンスチェックとは?
リファレンスチェックとは、中途採用の選考において、候補者の実績や在籍期間、人物像などを前職や現職で一緒に働いている第三者から取得することを言います。書類や面接ではわからない情報を第三者から得ることで、企業の採用におけるリスクを軽減することが主な目的となります。
前職や現職の上司・同僚・部下がリファレンスの主な依頼先(推薦者)で、候補者から了承を得た上で、企業もしくは委託された外部業者が、直接電話やメールなどで依頼先(推薦者)にヒアリングします。リファレンスチェックを実施するタイミングは企業によって違いますが、内定の前後に本当に採用して問題がないか最終確認の為に行われることが多いです。
より多くの情報を取得しするために、候補者の働きぶりや人物像をよく知る上司・同僚・部下から二人以上取得することが多いです。
1クリックで完結するリファレンスチェック「backcheck」とは?
リファレンスチェックのメリット
リファレンスチェックは、企業にとって大きく4つのメリットが存在します。
経歴・職歴詐称の検知
書類や面接において、候補者が経歴・職歴などを誇張して申告することがあります。申告情報に虚偽がないか一緒に働いた第三者に確認することで、経歴・職歴詐称を事前に検知することができます。
候補者と企業とのミスマッチの軽減
履歴書、職務経歴書などの選考書類や面接でわかる情報には限界があります。面接の時間は限られていますし、長所や短所、職務遂行能力を候補者本人が正しく認識し、説明できるとは限りません。そのため、一緒に働いた第三者から実際の働きぶりや人物像などを聞くことで、自社のカルチャーとフィットするか、求めているスキル・人物像と合致しているかが判断できミスマッチが軽減されます。
選考の効率化
選考過程の中でできるだけ早期に候補者を見極め、合否を判断することで選考フローを削減することに繋がります。リファレンスチェックを選考フローの序盤に実施することで候補者のスクリーニングになり、選考を効率化することができます。
入社後の活躍への活用
リファレンスチェックは選考過程だけではなく入社後にも活用が可能です。
例えば、候補者の性格や価値観を知ることができるので、マネジメントの参考にできます。また、強みとなるスキルや不足しているスキルを予め把握できるため、入社後に活躍しやすい環境を用意しやすくなります。
リファレンスチェックがもたらす離職率改善
リファレンスチェックを実施することで、ミスマッチによる採用の失敗を未然に防ぎ、自社に合う人材を採用し、候補者が活躍しやすい環境を用意することで、採用した方が長く働き続けやすくなり、離職率が改善されます。
年収345万で採用した人が入社後3ヶ月で離職した場合、その人の採用費に80万(※1)、本人の人件費に87万(※2)、教育コストに38万(※3)、教育する人の人件費に45万(※4)と計算すると目に見える費用だけでも250万円の損失になります。
また、離職は金銭的な損失だけでなく、働いている社員のモチベーション低下や、会社のイメージも悪くなる場合があります。
リファレンスチェックによる離職率の改善は、不必要な金銭コストや企業へのマイナスの影響を抑えることにも繋がります。
※1【参考文献】 中小企業庁委託「中小企業・小規模事業者の人材確保と育成に関する調査」
※4 教育やマネジメントに1日3時間を費やすとし、時給2500円で1ヶ月20営業日ある場合の計算
リファレンスチェックの流れ
リファレンスチェックの流れは大きく二通り、ここではそれぞれの流れを説明します。
取得方法はこれまで電話やメールが一般的でしたが、最近ではWebシステムを使ったリファレンスチェックも増えています。
候補者にリファレンスの依頼先(推薦者)を紹介してもらう場合
1. リファレンスチェック実施の説明をする
採用担当者が候補者にリファレンスチェックの説明をし、承諾をいただきます。
候補者に承諾してもらう内容
- 前職の方から候補者の情報をいただくこと
- リファレンスチェック実施の目的
- 候補者から依頼者(推薦者)に対して、リファレンスチェックでの情報提供について説明し同意を得ること
2. 依頼者(推薦者)の連絡先を教えてもらう
候補者から依頼者(推薦者)に採用担当者に電話番号やメールアドレスなどの情報を共有することを説明してもらい、同意が得られたら依頼者(推薦者)の連絡先を教えてもらいます。
3. 依頼者(推薦者)に連絡をし日程調整をする
依頼先(推薦者)の方も仕事がある為、急なリファレンスチェックに応じるのは難しいことが多いです。
依頼者(推薦者)と日程調整をしリファレンスチェックを実施する日にちを決めましょう。
4. 質問を決める
リファレンスチェック実施までに、質問内容を決めます。
ここでは、経歴や実績の内容に虚偽がないかの確認や人物像やスキルを図る質問を用意します。
5. リファレンスチェックを実施する
日程になったら、依頼者(推薦者)に連絡をし事前に決めた質問内容を聞きリファレンスチェックを実施します。
6. レポートにまとめる
最後にリファレンスチェックで実施した内容をレポートとしてテキストにまとめます。ここでは、誰に実施したのか・質問内容・回答結果・総評をまとめます。レポートは採用に関係した人に共有し、採用判断をしましょう。
リファレンスチェックが1クリックでできるbackcheckとは?
採用担当者・委託された外部業者がリファレンスの依頼先(推薦者)を探す場合
1. リファレンスチェック実施の説明をする
採用担当者が候補者にリファレンスチェックの説明をし、承諾をいただきます。
候補者に承諾してもらう内容
- 前職の方から候補者の情報をいただくこと
- リファレンスチェック実施の目的
- 候補者から依頼者(推薦者)に対して、リファレンスチェックでの情報提供について説明し同意を得ること
リファレンス先を紹介してもらう場合と違い、依頼者(推薦者)の情報を聞くことはない為、ここでは依頼者(推薦者)の承諾が不要となります。
2. 依頼者(推薦者)を探す
依頼者(推薦者)を探す方法は会社に直接電話するか、SNSやWebの情報を使って探す場合などがあります。会社に電話やWebの情報を使って探す場合は、不確実性と探す手間がかかる為、候補者に紹介してもらう方が良いでしょう。
3. 依頼者(推薦者)に連絡をし日程調整をする
依頼先(推薦者)の方も仕事がある為、急なリファレンスチェックに応じるのは難しいことが多いです。
依頼者(推薦者)と日程調整をしリファレンスチェックを実施する日にちを決めましょう。
4. 質問を決める
リファレンスチェック実施までに、質問内容を決めます。
ここでは、経歴や実績の内容に虚偽がないかの確認や人物像やスキルを図る質問を用意します。
外部業者に委託する場合は、質問を委託先で用意していることが多いので、独自で聞きたい質問があればそれを追加するだけとなります。
5. リファレンスチェックを実施する
日程になったら、依頼者(推薦者)に連絡をし事前に決めた質問内容を聞きリファレンスチェックを実施します。
6. レポートにまとめる
最後にリファレンスチェックで実施した内容をレポートとしてテキストにまとめます。ここでは、誰に実施したのか・質問内容・回答結果・総評をまとめます。
外部業者に委託する場合は、レポートを外部委託先が作成してくれる為、作成の手間がなくなります。
レポートは採用に関係した人に共有し、採用判断をしましょう。
リファレンスチェックの質問内容
勤務関連・人物像・スキルといった情報を一緒に働いた第三者から取得すると、判断の根拠となる客観的な情報により意思決定の後押しになります。また採用判断だけでなく、「どのような強み弱みがあり、どんな環境や仕事で最も活躍できるか」といった入社後のパフォーマンス向上に必要な情報までわかる質問設計をしていると、よりリファレンスチェックの価値が高まります。
リファレンスチェックの質問内容は、大きく分けて3つに分類されます。
勤務関連
- 在籍期間は◯年◯月から◯年◯月までと伺っておりますが、間違いはありませんか?
- 役職・仕事内容・実績は合ってますか?
- 遅刻や欠勤は多くありませんでしたか?
勤務関連での質問では、在籍期間の確認や実績などの書類や面接の内容に虚偽がないか確認を行います。
人物像
- 候補者とはどのような関係性でしたか?
- 周囲とのコミニュケーションはどうでしたか?
- 仕事を進めるうえで、個人とチームどちらが合っていますか?
- 候補者はどのような人物ですか?
- また一緒に働きたいと思いますか?
人物像の質問では、コミュニケーション能力やどのような性格かを関係性のある第三者に確認することで、面接の限られた時間では分からない人物像を知ることができ、自社のカルチャーと合っているか確認できます。
スキル
- 長所・短所はなんですか?
- 問題解決能力・意思決定能力はありましたか?
- リーダーシップはありましたか?
- 部下がいた場合、部下の教育はできていましたか?
スキルでの質問では、一緒に働いた第三者にしかわからない長所・短所やマネジメント能力などを確認できます。入社してからの求めていたスキルが不足しているといったミスマッチを軽減できます。
上記の質問の他、採用ポジションや業務内容のより具体的な質問事項が追加されることもあります。
リファレンスチェックが1クリックでできるbackcheckとは?
リファレンスチェックは違法ではない?
リファレンスチェックは、候補者や依頼者(推薦者)の情報を取得することと、企業に情報が開示されることについて、事前に候補者本人の同意を取れば違法にはなりません。
ここで重要になるのが、「個人情報保護法」に抵触しないことです。
第4章 個人情報取扱事業者の義務等
第1節 個人情報取扱事業者の義務
第16条 個人情報取扱事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、前条の規定により特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはならない。
2 個人情報取扱事業者は、合併その他の事由により他の個人情報取扱事業者から事業を承継することに伴って個人情報を取得した場合は、あらかじめ本人の同意を得ないで、承継前における当該個人情報の利用目的の達成に必要な範囲を超えて、当該個人情報を取り扱ってはならない。
上記の通り、事前に本人の同意を取ることが必要です。
個人情報とは以下を指します。
第1章 総則
第2条 この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
一 当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等(文書、図画若しくは電 磁的記録(電磁的方式(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認 識することができない方式をいう。次項第2号において同じ。)で作られる記録をいう。第18条第2項において同じ。)に記載され、若しくは記録され、又 は音声、動作その他の方法を用いて表された一切の事項(個人識別符号を除 く。)をいう。以下同じ。)により特定の個人を識別することができるもの (他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別するこ とができることとなるものを含む。)
二 個人識別符号が含まれるもの
2 この法律において「個人識別符号」とは、次の各号のいずれかに該当する文 字、番号、記号その他の符号のうち、政令で定めるものをいう。
一 特定の個人の身体の一部の特徴を電子計算機の用に供するために変換した文 字、番号、記号その他の符号であって、当該特定の個人を識別することができるもの
二 個人に提供される役務の利用若しくは個人に販売される商品の購入に関し割 り当てられ、又は個人に発行されるカードその他の書類に記載され、若しくは 電磁的方式により記録された文字、番号、記号その他の符号であって、その利 用者若しくは購入者又は発行を受ける者ごとに異なるものとなるように割り当 てられ、又は記載され、若しくは記録されることにより、特定の利用者若しく は購入者又は発行を受ける者を識別することができるもの
3 この法律において「要配慮個人情報」とは、本人の人種、信条、社会的身分、 病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、 偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして 政令で定める記述等が含まれる個人情報をいう。
なお、内定後にリファレンスチェックを実施し、内定を取り消す場合には注意が必要です。内定を出した後では、始期付解約権留保付(※1)の労働契約が成立したことになりますが、下記の労働契約法に定められている通り、労働契約を終了(解雇)する場合、合理的な理由が必要になります。よって、リファレンスチェックの結果が良くなかったからといって簡単に内定を取り消しすることはできません。
第三章 労働契約の継続及び終了
第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
【参考文献】・労働契約法( 平成19年12月05日法律第128号) - 厚生労働省
※1 始期付解約権留保付: 就業開始日までの間に雇用者は非雇用予定者との解約できることを労働条件に付与すること。
もし、リファレンスチェックを実施したことで経歴詐称などが発覚し、内定を取り消したい場合は法律の専門家に相談した上で対応を検討する必要があります。
採用担当者の負担
リファレンスチェックで得られる情報は、採用選考における貴重な情報源であり実施するメリットが大きいということを、ここまで説明してきました。
しかし、リファレンスチェックの実施には採用担当者の負担もあります。
質問設計や実際に電話をしその内容をレポートとしてまとめる作業工数が必要だったり、違法な取得にならないようにしなければならないなど、多忙な人事にとってはかなりの負担となります。
back checkのようなWebサービスを利用し作業負担と違法性のリスクを排除しながら実施する企業が多いです。
まとめ
リファレンスチェックは、選考書類や面接でわからない情報を、一緒に働いた第三者から取得することで、ミスマッチによる採用の失敗を未然に防ぎ、自社に合う人材を採用できます。
また、入社前に候補者の性格や価値観、スキルがわかることで、入社後のマネジメントに活かしたり活躍しやすい環境を用意することで入社後活躍の早期化に活用できます。
自社に合った採るべき人を採用し、活躍しやすい環境を用意することは離職率を防ぐという大きなメリットです。
しかし、リファレンスチェックは採用担当者の作業工数の負担が増加したり、法律に準拠して実施する必要があります。
back check(バックチェック)では、リファレンスチェックをWeb上で候補者の情報を登録するだけで、簡単・低価格で実施できます。導入企業様が個人情報保護法に該当しないよう入念に設計されており、実施に経験がない方や、利用方法や運用に不安をお持ちの方にも、簡単な操作ですぐにご利用いただけます。