採用するべき人材を見極める構造化面接とは?面接官の役割から構造化面接のステップ・質問例を紹介
優秀な人材を継続的に採用することは全ての企業において最も重要な命題の一つです。
面接でありがちなのは面接官の主観によって候補者の評価が大きく変わり、入社後にミスマッチになってしまったり、経験の浅い社員が面接を担当する場合、評価の基準が分からず合否を判断できないケースです。そのような状況を回避するためには、客観的に候補者を評価する手法である「構造化面接」がおすすめです。
この記事では、はじめて採用面接をする方に向けて、採用における面接官の役割と構造化面接のメリットや実施方法、質問例について詳しく解説します。
目次
- 採用における面接官の役割
- 採用するべき人材を見極める構造化面接とは
- 構造化面接のメリット
- 構造化面接を実施する4ステップ
- 構造化面接での質問設計
- 非構造化面接を避け客観的に能力を見極める
- 構造化面接のデメリットと解決方法
- まとめ
採用における面接官の役割
まずはじめに企業の採用活動における面接官の役割について整理しましょう。 面接官には大きく3つの役割がありますが一つでも認識が欠けていてはいけません。
①候補者の本当の姿を引き出し、自社で活躍できるかを見極める役割
1つ目は自社で採用するべき人物かを見極める役割です。選考書類の記載内容や面接の場での回答は予め用意することができるものが多い分、候補者が評価を得るために本来の自己の働きぶりとは異なる回答をしたり、虚偽や過大な申告が含まれている可能性があります。 面接での対面コミュニケーションにより書類や面接で語られた内容を深堀り、候補者の行動特性の実態を適切に引き出すことが面接官の重要な役割です。
②採用したい人材に自社を魅力づけして入社に導く役割
2つ目は、採用したい人材へ自社の魅力づけをする役割です。候補者にとってその企業の唯一の窓口になる面接官の言動や印象は、候補者が最終的に入社を決意する際の大きな決め手となります。
リクルートキャリアの『第30回転職世論調査』では中途採用における候補者の入社の決めてにおいて、「仕事内容」「勤務条件・待遇」に次いで「面接官の印象」を重視していることが分かります。性別関係なく約4割の候補者が「面接官の印象」を入社の決め手にしていることから、面接官が与える印象が入社に非常に大きな影響を与えることが明確です。
見極めの為に情報を引き出す事に必死で一方的な質問をするのではなく、質問をする言葉遣いやニュアンスを工夫しながら自社や面接官本人に良い印象を持ってもらいうことが、候補者が選考通過後に入社の意思決定をする大きなカギになります。
ただし面接官が会社の魅力づけを意識するあまり、入社後に面接官の話と実態が乖離しているなどの理由でミスマッチが起こり、トラブルや早期退職が発生してしまっては意味がありません。面接官は嘘偽りなく適切に会社のカルチャーや業務、待遇について説明する必要があります。
③消費者としての候補者に企業のポジティブな印象与える役割
3つ目は、会社の印象を左右する「広告塔」としての役割です。
候補者が入社すれば自社の社員になりますが、選考を通過しなかったり、通過したとしても候補者自身が入社を決めるとは限りません。面接で与えられた企業のイメージがそのまま、一般消費者としての企業イメージとなるため、面接官はその企業の代表としての自覚を持ち、選考の結果に関わらず、企業として候補者にポジティブな印象を持っていただけるように振る舞う必要があります。
たとえば、面接に来た候補者が明らかに不合格だった場合、面接を早々に切り上げたり、明らかに話を聞いていない素振りをする面接官が稀にいますが、そのような対応で候補者の印象を悪くし、最悪の場合、SNSで対応の内容を報告され、企業や事業に大きなダメージを与える可能性もあるため、面接官は会社の顔としての意識を常に持っている必要があります。
採用するべき人材を見極める構造化面接とは
構造化面接とは、臨床心理学におけるアプローチのひとつで「自社の採用要件を明確にしたうえで、あらかじめ評価基準と質問項目を決めておき、マニュアル通りに実施していく」という面接手法です。応募者見極めの判断基準が曖昧であったり、面接官が主観で質問と評価を行う等の面接における過大を解消することが目的でGoogleなどの有名企業でも導入されています。
構造化面接のメリット
面接を構造化し判断基準を標準化することで面接官による評価のズレによって、優秀な人材を逃してしまったり、反対に期待に反した人材を採用してしまうリスクを低減することができます。また、一度に大量の面接を行う場合でも、面接官のスキルや経験に左右されない面接を行うことができ、面接官による評価のばらつきを抑えることが可能です。また、面接の結果を評点化しやすく、結果を共有しやすいというメリットもあります。
構造化面接を実施する4ステップ
具体的には以下のようなステップで面接を設計し、全ての面接官が同じ評価基準のもと公正に採用合否を判断できるように評価項目・基準をきちんと定めておくことが重要です。
STEP1.自社の採用基準を明確にし、評価項目・評価基準を設定する
面接では、具体的に何を評価するのかの評価項目だけでなく、どのように評価するのかの評価基準を設定することが大切です。評価項目・評価基準は自社がどのような人材を採用したいのか、採用基準を具体的かつ明確にする必要があります。
STEP2.起点となる質問をする
評価したい項目に沿って質問をします。例えば「計画力」という評価項目を採用における重要指標とした場合には、「プロジェクト計画が功を奏し、成果を収めた経験についてお聞かせください」など、候補者が持つ計画力についての話題を促します。
STEP3.質問をして掘り下げる
評価項目・評価基準に沿って、より深く起点となる質問に対する回答を深く掘り下げていきます。
STEP4.評価項目ごとに4~5段階の評価基準を策定し、面接合否を判定する
「非常に良い」「良い」「普通」「悪い」などのように評価基準を区分し、その判断基準も明文化しておきます。
構造化面接での質問設計
構造化面接は「行動面接」と「状況面接」の2つの質問の組み合わせによって行われます。
行動面接
行動面接とは、候補者の過去の行動について質問を行い、候補者の能力やパーソナリティについて見極めることを目的としている面接です。構造化面接を実施する4ステップで解説した、起点となる質問をもとに、当時の状況(Situation)、当時の課題(Task)、とった行動(Action)、得られた結果(Result)について掘り下げて聞いていきます。行動面接はこれらのアルファベットの頭文字をとって「STAR」面接と呼ばれています。具体的には各項目以下のような質問をします。
状況(Situation)
- チーム体制について教えてください
- チームでの役割はなんでしたか?
- どのような責任や権限をもっていましたか?
当時の課題(Task)
- ゴールはなんでしたか
- 課題のきっかけと大きな要因はなんでしたか?
- 課題にはいつ気づきましたか?
- いつまでに解決する必要がありましたか?
とった行動(Action)
- どのような計画をとりましたか?
- どのような行動をとりましたか?
- どのようにまわりを巻き込みましたか?
- 嬉しかったことはなんですか?
得られた結果(Result)
- 課題をどのように解決しましたか?
- 計画どおりに行かなかったことはなんですか?
- 改善点はありますか?
状況面接
状況面接とは、状況面接では仮説に基づいた質問をします。「もし~という状況だったら」という仮説のもと、経験に裏打ちされた応募者の力量を測っていきます。たとえば「もしあなたか弊社の事業のマーケティング責任者になったとしたら製品の認知を倍増にするためにどのような取り組みをしますか。これまでの経験を踏まえておしえてください」など、教科書通りの回答ではなく自身の経験を元にした回答をしてもらうことで、これまでどのような思考プロセスで意思決定をしてきたかを知ることができます。
非構造化面接を避け客観的に能力を見極める
面接がマニュアル化されている構造化面接に対して、細かなルールを設けずに面接官が自由に面接を行う手法を「非構造化面接」と言います。構造化されていないがゆえに、面接官による面接内容の差が生じやすくなる傾向があります。
非構造化面接では、面接官の聞きたいことに終始して「想定質問」や「誘導質問」がたびたび起こります。
想定質問
想定質問とは、候補者が事前に準備できる質問のことを指します。例えば、「志望理由はなんですか」「強みと弱みはなんですか」といった典型的な質問が挙げられます。候補者はこれらの質問に対して回答を準備して面接に望んでいる場合が多く、面接で見せる姿や言動が本心ではない可能性があり、候補者の能力が見えづらくなります。誘導質問
誘導質問とは、企業側が期待している答えが相手に伝わってしまう質問のことです。「地方で働くことは可能ですか?」といった質問は、「地方に行ってほしい」という企業の希望が暗に伝わってしまうため、候補者は、本心とは異なる回答をしてしまうことがあります。誘導質問は候補者の本音は見えにくく、見極めが難しくなります。構造化面接のデメリットと解決方法
構造化面接の導入にはメリットがある一方で、大きく2つの懸念点があります。
- あらかじめ用意された質問に沿って情報を得ていくため、応募者の新たな側面を見出したり、自由な発想を発見することなどが難しい
- 候補者が面接で述べる内容を誇張している可能性があり、話の信憑性に疑問が残る
構造化面接を実施しつつも、上記の懸念を払拭するための別の手法を選考の中で組み合わせると良いでしょう。
リファレンスチェックを組み合わせ客観性を担保しながら候補者の能力を見極める
上記の構造化面接の懸念点を克服し、客観性を担保しながら候補者の能力を見極めるために、構造化面接と「リファレンスチェック」の組み合わせをおすすめします。
リファレンスチェックとは書類選考や面接ではわからない、候補者の人物像や、前職の仕事ぶりを同僚や上司といった第三者に確認することをいいます。構造化面接とリファレンスチェックを組み合わせることで、候補者の思考から第三者からみた候補者の人となり、仕事ぶりを知ることができ、新たな側面の発見が可能になります。
リファレンスチェックが1クリックでできるbackcheckとは?
まとめ
構造化面接法では面接官のスキルや経験に左右されない面接を行うことができ、面接官による評価のばらつきを抑えることが可能です。全ての面接官が同じ評価基準のもと公正に採用合否を判断できるように評価項目・基準をきちんと定めることで、優秀な人材を逃してしまったり、反対に期待に反した人材を採用してしまうリスクを低減することができます。
ただし、構造化面接では候補者の思考プロセスや、候補者の立ち居振る舞いを確認することが出来ますが、話の信憑性や新たな側面の発見は出来ないため、リファレンスチェックを組み合わせ、書類選考や面接ではわからない、候補者の人物像や、実際の仕事ぶりを確認し、候補者の能力を見極める事が重要です。
back check(バックチェック)では、リファレンスチェックをWeb上で候補者の情報を登録するだけで、簡単・低価格で実施できます。導入企業様が個人情報保護法に該当しないよう入念に設計されており、実施に経験がない方や、利用方法や運用に不安をお持ちの方にも、簡単な操作ですぐにご利用いただけます。